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読んだ本

読んだ本

私が実際に読んで、価格に見合うかそれ以上の価値を感じた書籍などを紹介します。
絶対に購入を勧めたくない書籍などもありますが、そういったものについては言及せずに個人的に良書と思ったものだけに限定いたします。

また、書籍に対する感想は私のごく個人的なものですので、書籍を購入する際の参考とするには頼りないものです。
購入する際はご自信のご判断でお願いいたします。

  • 詳解 Objective-C 2.0 第3版 - 荻原剛志 -

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    最初に断りを入れておきますと、私は本書における第3版しか読んでおりませんので、それ以前の版の内容の差異などは分かりません。
    その為ここに記載する内容はあくまでもこの第3版に限定された個人的な見解である事をご理解願います。

    かつてMacのプログラミング関連書籍は探すのが非常に困難でした。それを考えますと現在は少々供給過多とも思えるほどの関連書籍が存在しますが、本当の意味で有益な情報を与えてくれたと感じられた物は一握りです。ですが それらあまたの関連書籍の中で普遍とも言える内容が詰まっているのが本書です。

    本書は初心者の方にはお勧めいたしません。少なくともObjective-C以外のオブジェクト指向言語を用いての開発経験を持つ方でなければ読み進めるのは難しいと判断します。
    また、読んですぐに目に見える華やかな効果を再現できるような内容も存在しません。GUI関連の解説は皆無です。
    更にXcodeについての解説も無いどころか使用しません。サンプルソースは全てターミナル上で動作させる事が出来るように配慮されています。
    「配慮」と表現しましたのは、本書のコンセプトがObjective-Cの事だけに情報を集中し、読み手がObjective-Cだけに集中できる事を目指したリファレンス本であるからです。
    開発経験者の立場の方であればこれを読んでおけばとりあえずOKと言っても言い過ぎではありません。
    後は必要に応じてオンライン上のリファレンスを参照したり、Xcodeを使うのであれば習得してみたりと、次の手を考えつつ進めるのが開発の王道であります。

    見た目が硬派な表紙で、内容もそんな感じですので堅苦しい印象がありましたが、読んでいると文面から著者の気さくそうな面が見えたりと、重厚で濃い内容ではありますがサクサクと読み終える事ができました。
    「とりあえずiPhoneアプリ開発にでも手を出してみようか」という他の畑での開発経験者の方でしたら、これとGUI解説の本、あとはXcodeの使い勝手をさらっと体験できる本があれば入り口としては十分ではないでしょうか。

  • ActionScript 3.0 アニメーション - Keith Peters -

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    元々はActionScript2.0をベースに出版されたものをActionScript3.0をペースに刷新した改定本なので、そもそもの最初の出版から考えますと出版後随分と年数が経っています(本書は2007初版)。

    とはいいましても、この本に掲載されている内容は普遍的なアルゴリズムであるため、時間が経過したとしても十分に通用します。
    例えば現在はActionScriptを扱うプラットフォームでも、3Dなどに特化した新しいフレームワークやプラグインが豊富にそろい、最適なアプローチが選べる時代ですが、それでも実際に3D処理を一から構築できる知識があるのとないのとでは雲泥の差があると私は感じています。

    本書の中では3D表現に限らず、そういったものを「一から手作りで構築する」という面白さが詰まっています。
    またActionScript3.0を用いていながらも、内容の本質は「アニメーションを行うための物理アルゴリズム」なので身に付けた知識は他の言語でも十分に生かすことができるでしょう。

    ただ初心者の方にはお勧めいたしません。
    最低限オブジェクト指向を理解していてActionScript2.0を扱えるので3.0を理解したい方や、とりあえずActionScript3.0は扱えるので色んな表現方法を身に付けたいという方に最適です。
    また、他のオブジェクト指向言語を理解していて、ActionScript3.0も扱う必要が出てきたという方にも役に立はずです。

    私がこの本を購入する際、「た、高い。。。」と多少躊躇がありましたが、実際に購入して全てを実践してみると価格以上の価値があると実感いたしました。
    理解できない項目も幾つかあったのですが、とりあえず一通り実践。そして再び最初から実践すると、理解できなかったところが理解できたり、また新たな発見やインスピレーションが沸いたりと、最低でも3回は読破して欲しいところです。
    ActionScript3.0を既に理解していて中級以上になりたい段階であれば、下手に2000~3000円の同じような本を何冊も買うよりもこれ一冊をじっくりと読み進めていく方が、遥かに有益な実践であると進めたくなる一冊です。

  • オブジェクト指向における再利用のためのデザインパターン - GoF -

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    生業でプログラミングに関わる事を避けられないなら「GoF(Gang of Four)のデザインパターン」は読んでおいて損はありません。本書は一般的なプログラミング技術本とは全く違い、プログラミングの為のアーキテクチャのカタログです。なので実装してすぐにユーザーの目を引く華やかな処理や目新しい技術などは、この本の中には皆無です。「オブジェクト指向は理解してるけど、どうすれば効率の良い構造化が出来るのか、どういうものが生産性の良い構造化なのか」といった疑問に対して道を開いてくれる一冊です。
    出てくるサンプルソースに用いられている言語はC++とJavaで、シンプルな分かりやすいコードなっており、二つを比較して読むのも面白いです。

    まず本書が見据えている読者層は実際にプログラミングを生業とし、すでに開発に携わっているような技術者であると言えます。従って最低でもオブジェクト指向を理解しており、オブジェクト指向プログラミング言語を一つは扱える事が前提です。またアーキテクチャにおける用語なども理解していなければ読み解く事はかなり困難な事となります。故にプログラミング初心者や、プログラミング言語を習得したいなどという目的には向かない内容です。
    本書序文の冒頭において、

    「出てくる言葉の意味が分からずに解説書に手を伸ばすようではダメである」

    と言い放たれます(ちなみに私は結構ダメな方でした)。
    実際の現場で本書の技術を使用するか(します)どうかは置いておき、「本書の内容を理解できる、理解している」という事は非常に重要です。
    実際にプログラミングの仕事に携われば、分野毎、言語毎、会社毎、チーム毎、プロジェクト毎とそれぞれにデザインパターンが存在していると言っても言い過ぎではありません。でも本書の内容が理解できるレベルにあるならば、ぶつかるであろう大抵の事は建設的な対応で向き合うことが出来るはずなのです。
    個人的にこの序文冒頭の突き放すような言葉も実は「こんくらいは知っとかないと苦労するぞ」というような、愛のある言葉のにも思えるのです。
    少なくとも私にとっては十二分に開発効率、生産性の向上に繋がった一冊です。

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